日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第42回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 42_2-S28-1
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シンポジウム
本邦及び海外規制当局における患者向け情報提供について ~患者参画検討WGの立場から~
*漆谷 隼
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抄録

新しい治療法の開発や自らの使用する医薬品・医療機器の安全性に関心をもつ患者や患者会は少なからず存在する。米国では、1990年代から個別製品の承認に関するFDAのAdvisory Committeeへの患者参画が開始され、患者の視点で医薬品開発におけるニーズや課題を幅広く収集することを目的としたPatient-Focused Drug Development(PFDD)会議が様々な疾患領域について開催されている。欧州でも、2006年にはEMAの活動に患者の意見を積極的に活かすための組織であるPatients and Consumers Working Party(PCWP)が設立され、患者向け添付文書やsafety communication等の文書作成にも患者の声が活かされている。このように、欧米では、市販後の医薬品の安全対策の観点でも、「患者の声」を活用する取組みが行われている。本邦における医薬品の安全対策についても、患者の視点による課題を患者とPMDAが共有し、相互にコミュニケーションすることは、規制の適正化や改善につながることが期待される。また、AMEDからも「患者・市民参画ガイドブック」が出版され、本邦での医薬品の開発での患者参画に関する関心は高まりつつある。このような状況を踏まえ、PMDAでは、患者参画や患者との協同に向けたPMDAの取組みを検討するため、患者参画に関するワーキンググループを2019年5月に設置した。本発表では、海外の規制当局における取組み状況も踏まえ、本邦における患者向け情報提供の現状とこれからの展望等について、患者参画検討ワーキンググループの立場から紹介する。

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