日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第42回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 42_3-EL6
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教育講演
免疫チェックポイント阻害薬の現状と問題点
*満間 綾子
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抄録

免疫チェックポイント阻害薬は、単剤療法から併用療法へ治療開発が進んでいる。適用疾患も拡大し治療成績の向上につながっている。免疫関連有害事象(immune-related adverse event:irAE)に留意しながら、より効果的に安全に使用するためにガイドラインを活かすなど各施設での適正使用への取り組みが重要である。

抗PD-1(programmed death-1)抗体薬のニボルマブと 抗CTLA-4(cytotoxic T lymphocyte-associated antigen 4)抗体薬であるイピリムマブの併用療法は悪性黒色腫、次いで腎がん、非小細胞肺がんと複数のがん種で保険承認されている。従来の単剤治療と比較して治療成績は優れているが、irAEの発症割合は増加する。また、抗PD-1抗体薬のペムブロリズマブ、抗PD-L1(programmed death-ligand 1)抗体薬であるアテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブと分子標的治療薬などとの併用療法では、下痢や倦怠感、肝機能障害、甲状腺機能障害など免疫チェックポイント阻害薬でもチロシンキナーゼ阻害薬でも発現しうる症状に遭遇する。

irAEの発症時期はさまざまであり、副作用モニタリング、副作用マネジメントの実際について、頻度は高くないが重篤な事象である心血管系障害、神経障害などにも触れながら概説する。ここでは、1.適応拡大が進む免疫チェックポイント阻害薬の現状を整理し、2.併用療法における副作用管理、3.治療対象として増加する高齢がん患者での適用における取組みを中心に述べる。

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