日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第42回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 42_3-S48-4
会議情報

シンポジウム
Global FIH 試験を実施して経験したこと-治験実施施設の視点から-
*佐藤 昌幸
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

クリニカルリサーチ東京病院ではFirst In Human(FIH)試験を数多く実施してきたが、多くは日本国内の治験依頼者から受託した試験であり、外資系の治験依頼者から受託したGlobal FIH試験の経験は少ない。

2020年に、日本イーライリリー株式会社と協働して、日本でGlobal FIHを実施できる体制(英語コミュニケーション、英語の実施計画書のレビュー対応など)があること、発達した公共交通機関、人口が密集していること、被験者募集機関が充実しているために短期間での試験実施が可能であることをイーライリリー米国本社に提案したことで、Global FIH試験(健康被験者を対象とした単回漸増試験)を当院で実施する機会を獲得した。

実施結果としては、施設の立ち上げから初回投与までの期間が短かったことが高く評価され、海外と同じようなスピード感で試験の実施可能であることを証明できた。また、準備段階では試験開始の数ヶ月前からコホート移行のタイムラインに関する要望を反映した試験スケジュールを提示し、そのスケジュール通りに試験を実施できたことも当院での受託に繋がった。

Global FIH試験の実施にあたり、これまでに当院で実施した臨床薬理試験と比較して特別な対応はなかったが、異なる点としてはコホート移行の会議の際に海外の開発メンバーと直接やり取りする機会が多かったことである。しかしながら直接のやりとりは決められたタイミングでの会議だったため、もっと簡単にいつでも直接やり取りできる体制があれば良かった。

今後も日本でGlobal FIH試験を実施するために、早期段階から情報を獲得できるように努め、ハード・ソフトの両面で準備を進めて積極的にアピールしていきたい。

著者関連情報
© 2021 日本臨床薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top