日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第43回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 43_3-C-EL08-1
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教育講演
コロナ禍に進んだワクチン開発研究のカンブリア紀的進化と予防医療の近未来
*石井 健
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抄録

コロナ禍で起きたワクチン開発研究の破壊的イノベーションは1年間に同じ抗原に対するワクチン開発が世界で144種類も治験に突入するというカンブリア的進化を遂げた。結果がんワクチンとして開発が進んでいたmRNAワクチンが他のすべての既存ワクチン開発を差し置いて圧倒的な速度と有効率で上市され、市場を席捲した。

ワクチンのサイエンスはコロナ禍以前は注目度の低い分野だったが、パンデミックで一変し、その波及効果は予想をはるかに超え分子(学術)から倫理(社会との接点)まで広くいきわたった。いまや感染症やワクチンを軽視しがちだった基礎生物学、医学研究、臨床研究、社会科学分野にも新しい潮流が生まれてきており、これまでになかったレベルで異分野融合が進み、次なる破壊的イノベーションが進んでいる。一方、ワクチン忌避といった難題は以前課題であり、急がば回れの精神で、安全で安心なワクチンを開発し、世界全体が健康になるべくユニバーサルヘルスカバレッジという言葉を具現化することが我々が目指すべき方向ではないかと考えている。

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