日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第43回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 43_3-C-EL09-3
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教育講演
治験におけるPatient Public Involvementー患者団体との医薬開発の共創としての治験アンバサダーの取り組み
*河西 勇太松山 琴音八木 信高
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抄録

2021年に,日本ベーリンガーインゲルハイム社主導で,日本の患者団体から治験の現状の課題等について聴取した意見を基に,アカデミア,患者団体,複数の製薬会社,SMOと協働で治験に関する患者トレーニングを行う活動「治験アンバサダープロジェクト」を開始した。今年度の取り組みとしては,トレーニングコンテンツの構築段階であることや,多様なステークホルダーが関わる試みであることから,試行的な取り組みとして小規模で開始した。トレーニングの実施においては, 以下の4つのステップ「1.日本で複数の患者団体に本プロジェクトへの協力を依頼し,本プロジェクトに関するオリエンテーションを実施,2.医薬品開発,治験に関するクラスルーム型トレーニングの実施,3.治験情報へのアクセス方法や調べ方に関するトレーニング(ハンズオントレーニング)の実施,4.治験アンバサダー活動の振り返りのワークショップの実施」の段階を踏み,トレーニングを行った。また,トレーニング内容は,その公共性・公平性を高める観点から,EUにおいて医薬品の研究開発等に関して患者等に教育活動を行う団体であるEUPATI(European Patients' Academy on Therapeutic Innovation)が作成したトレーニング資料を日本語に翻訳した資料を基に,日本固有の情報や国内の文化的背景等も踏まえながら適宜改訂を行ってトレーニングの資料とした。本トレーニングを様々なステークホルダーが協働して進める中で,トレーニング資料のローカライズ,トレーニング受講者の募集方法,国内の治験情報検索における課題,トレーニング受講者との適切な関係性など,様々な運営上の課題点も浮かんできた。本教育講演では,今年度のトレーニングの実施内容や工夫した点を紹介すると共に,運営上の課題点についても取り上げ,治験に係る患者トレーニングの在り方について議論を深めたい。

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© 2022 日本臨床薬理学会
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