日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第43回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 43_3-C-P-105
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一般演題 ポスター
CRC経験のAROにおけるパフォーマンス向上への寄与
*安藤 美紗子萩森 奈央子五百蔵 文代関 哲郎藤田 靖之宇野 恵美子東出 智嗣川本 篤彦
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抄録

【目的】当センターは、医療シーズの臨床開発マネジメントから治験の立ち上げ・運営、薬事承認申請の支援に至る幅広い活動を行う、種々の専門性と職歴を持つ人材が集結するAROである。今回、CRCの職歴を持つメンバーに焦点を当てCRC経験のAROにおけるパフォーマンス向上への寄与について調査・考察を行った。

【方法】在籍中のCRC経験者4名及び過去在籍者3名にアンケート調査を実施して主観評価を行った。調査項目は、1-1.CRC経験に関する背景、1-2.現在の職種、1-3.現在の業務におけるCRC業務の経験の有益性、1-4.CRC業務時に習得/経験していて有益であったと考える業務とした。また、客観評価として、CRC経験者が所属する部署で、CRC経験者以外の職員を対象にアンケート調査を実施した。調査項目は、2-1.CRC業務の認知度、2-2.所属部署におけるCRC経験の有益性の有無、2-3.有益であると思う経験とした。なお、CRC業務はCRCテキストブック第4版を参考に15業務を挙げた。

【結果】主観評価は7名から回答が得られた。調査項目1-1.では、勤務形態はSMO6名、院内7名、経験年数は、2-5年未満:1名、5-10年未満:2名、10年以上:4名であった。調査項目1-2.では、プロジェクトマネジメント業務5名、データマネジメント業務2名であった。調査項目1-3.では、15業務中14で、「役立つ」又は「とても役立つ」の回答であった。残り1つは、「役立つ」「とても役立つ」及び「経験なし」の回答であった。調査項目1-4.では、「有害事象等発生時の対応、現場の品質マネジメント」が6名より回答が得られた。客観評価は16名から回答が得られた。調査項目2-1.では、15業務中14で半数以上の回答者が「知っている」と答えた。また、調査項目2-2.では、16名全員が「役立つ」と答えた。調査項目2-3.では、「スケジュール管理」が16名、「データマネジメントと症例報告書の作成支援」が13名、「モニタリングおよび監査の準備と対応、実地調査の対応」が12名であった。

【考察・結論】アンケート結果より、CRC経験は主観評価及び客観評価で共に有益と評価されたものの有益と考えられる業務は同一ではなかった。CRCが医療機関の現場で治験実施に携わり、データ作成過程を直接経験していることを更に活かし、医療現場の実情に即した無理のない治験デザインや運営方法の提案、データの背景を理解したデータマネジメントなど、幅広く医療開発業務に貢献する余地があると考えられた。

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