日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第43回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 43_3-C-P-123
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免疫関連有害事象対策に関連したチェックシートの記載内容の実態調査及び有用性評価に関する検討
*石原 ののこ山下 修司清木 静乃筒井 啓登甲斐 絢子林 秀樹
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抄録

【目的】免疫関連有害事象(irAE)は、一般に免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の投与により生じる有害事象である。がん免疫療法のガイドラインによれば、「irAEに対するマネジメントの原則は、irAEを早期に認識し、重篤度に応じた適切な免疫抑制療法を行うこと」とあるが、irAEは発現時期や重篤度等の予測が難しい現状がある。このため、ICIが投与された患者及びその家族等にirAEの早期発見及び受診を促すためirAEの初期症状が記載されたチェックシート(以下、チェックシート)が存在する。しかし、チェックシートの項目や書式は作成する機関ごとに異なり必ずしも統一されていない。そこで、本研究ではチェックシートの記載内容に関する実態を調査し、また報告された有害事象件数及び重篤度と比較することでチェックシートの有用性を評価することを目的とした。【方法】医療機関又は製薬企業のウェブサイト上で公表されているチェックシートを用いて、記載されているチェック項目(以下、チェック項目)をICH国際医学用語集(MedDRA)の器官別大分類(SOC分類)に準じて集計した。また、医薬品副作用データベース(JADER)より、2016から2020年のニボルマブの有害事象件数及び重篤度を抽出し、SOC分類ごとに集計した。チェック項目と有害事象件数の関係をSpearmanの順位相関係数にて推定した。さらに、SOC分類ごとに有害事象件数と重篤度の関係についてモザイクプロットを作成し、可視化した。チェック項目と有害事象件数との相関係数及び作成したモザイクプロットからチェックシートの有用性を検討し、新たにチェックシートへの記載が推奨されるチェック項目を挙げた。【結果・考察】本調査では、チェックシートは33件抽出された。チェック項目と有害事象件数との相関係数は0.796であり、両者には一定の相関があることが示唆された。また作成したモザイクプロットより、チェックシートに優先的に記載することが推奨されるチェック項目はSOC分類にて「呼吸器、胸郭および縦郭障害」、新たに追記することが推奨されるチェック項目は、SOC分類にて「感染症および寄生虫症」であると考えられた。【結論】現在活用されているirAEの予防、早期発見のためのチェックシートは、有害事象件数及び重篤度に関する実態に即しており、有用であると考えられる。

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