日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第44回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 44_1-C-EL03
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教育講演
医療統計学の基礎
*下川 敏雄
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抄録

統計科学は,臨床薬理学を含めた多くの分野において必須のスキルである.また,統計解析環境Rに代表される統計ソフトウェアの普及により,多くの研究者が平易な処理で高度な統計的方法が利用できるようになってきている.一方で,様々な場面において,統計解析の誤用が散見される.統計科学に基づいて得られた結果には説得力を伴うものの,誤った解析は科学をあらぬ方向に導く惧れがある.すなわち,適切に統計手法を取捨選択することは,研究者にとって非常に重要である.

本講演では,仮説検定から出発し,回帰分析までを取り扱う.仮説検定では,その仕組みと手法の取捨選択について解説する.量的変数の場合には,2標本t検定に代表されるパラメトリック検定とWilcoxon検定に代表されるノンパラメトリック検定に関する話題をとり扱う.質的変数の場合には,カイ2乗検定とFisherの正確検定の使い分け,Cochran-Armitage検定などをとり扱う.また,生存時間データでは,Kaplan-Meier曲線の解釈とLogrank検定の意味について解説する.

回帰分析では,重回帰分析,ロジスティック回帰分析およびCox比例ハザード・モデルについて解説する.そこでは,多重共線性とその診断の方法,および偏回帰係数の解釈などについてとり扱う.また,多変量解析において頻用される変数選択の方法と適用上の留意点について説明する.

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