日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第44回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 44_1-C-O04-1
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一般演題(口演)
医師主導治験調整事務局における業務分析
*坂野 晴彦奥宮 太郎網野 祥子堀尾 綾香永井 洋士井上 治久
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抄録

【目的】医師主導治験の治験調整事務局業務に関して、治験調整医師側からみた内容と業務量の経時的推移を明らかにする。

【方法】低分子化合物を用いた多施設共同第I/II相医師主導治験の治験調整事務局会議の議事録から協議内容をレビューし、治験調整事務局業務の繁忙期およびその内容を分析した。

【結果・考察】議事録題目から抽出した業務内容は、「治験準備期間」、「治験実施期間」および「クロージング期間」の3期間で大きく異なった。「治験準備期間」では、治験デザイン、医薬品医療機器総合機構(PMDA)対応、開発業務委託機関(CRO)契約、他施設関連などで連絡調整が必要だった。「治験実施期間」では、被験者登録、評価・検査データ、他施設関連、安全性に関しての確認が必要だった。「クロージング期間」は治験実施期間後半から始まり、クロージング日程を調整し、統計解析部門との調整、総括報告書の準備が必要だった。全期間を通じて、契約、出金・入金の確認を定期的に行う必要があった。突発的な状況として、COVID-19や重篤な有害事象への対応を行った。

 最も業務量が多かったのは、「治験準備期間」であり、週1回の会議開催が必須であったが、「治験実施期間」および「クロージング期間」においては、2週間に1回の会議開催で十分だった。特に治験プロトコル作成時、PMDA対面助言前の照会事項対応、総括報告書確認時での業務量が際立っていた。

 業務量軽減に寄与した要因として、プロトコル・各種手順書・必須文書のひな形、臨床研究中核病院・橋渡し研究支援機関のメリットである多数の専門人材へのアクセスの良さが挙げられた。また、業務期間短縮に寄与した要因として、治験中の様々な可能性を想定した治験準備期間における綿密な会議、治験実施中における早期のクロージング準備が挙げられた。

【結論】医師主導治験の治験調整医師側からみた治験調整事務局業務は、プロトコル作成、PMDA対応、CRO契約など、治験準備期間における業務量が最も多い。治験実施期間では、被験者登録、他施設との調整、クロージング準備が中心となり、クロージング期間では総括報告書の最終調整が必要となる。

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