日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第44回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 44_1-C-P-F5
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一般演題(ポスター)
日本人健康成人を対象としたDS-6016a単回皮下投与時の安全性、忍容性、及び薬物動態を検討するヒト初回投与(First in Human: FIH)試験
*沖田 啓古家 英寿倉田 晃文吉柴 聡史降旗 啓岡 嵩晃柏原 祐志石塚 一志吉原 一孝
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抄録

【目的】進行性骨化性線維異形成症は、通常は骨組織が形成されない軟部組織において骨組織が形成される疾患であり、アクチビン受容体様キナーゼ2(ALK2)の活性型遺伝子変異が原因である。DS-6016aはALK2に対する新規ヒト化モノクローナル抗体であり、ALK2に結合することで異常亢進シグナルを阻害し異所性骨化を抑制することが期待される。そこで日本人健康成人男性を対象にDS-6016aを単回皮下投与した時の安全性、忍容性及び薬物動態を検討するFIH試験(NCT04818398|jRCT2051200155)を実施した。【方法】ALK2にアミノ酸変異を持たない日本人健康成人男性を対象にプラセボ対照、無作為化、二重盲検、単一施設にて単回用量漸増試験を実施し、DS-6016a 5 mgから1000 mgを単回皮下投与した際の安全性、忍容性及び薬物動態を評価した。血漿中DS-6016a濃度はリガンド結合アッセイ(LBA)を用いて測定し、モデルに依存しない方法で薬物動態パラメータを算出した。有害事象、臨床検査、標準12誘導心電図及び鉄関連パラメータ(血清鉄、不飽和鉄結合能及びフェリチン)等を評価した。また、抗薬物結合抗体はLBAを用いて測定した。【結果・考察】日本人健康成人男性48名が無作為化され、DS-6016a群36名、プラセボ群12名であった。DS-6016aは投与後6~10日でCmaxに達し、t1/2は16~35日であった。Tmaxとt1/2は用量とともに増加する傾向を示した。Cmax及びAUCは150 mg以上の投与量で用量に比例して増加する傾向を示した。抗薬物結合抗体は4/48名で陽性(全てDS-6016a群)であり、陽性被験者でのDS-6016aの曝露は陰性被験者よりもが低い傾向にあった。有害事象は24/48名(DS-6016a群16/36名、プラセボ群8/12名)に発現し、中等度2件(虫歯、発熱)以外は軽度であった。また、フェリチンが用量とともに減少する傾向を示した。DS-6016a投与後にQTc間隔の延長は認められなかった。【結論】日本人健康成人男性を対象にDS-6016a 5 mgから1000 mgを単回皮下投与した際の安全性、忍容性に問題はなかった。また、薬物動態の結果から150 mg以上の投与量ではDS-6016aによるALK2阻害が飽和していると考えられた。

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