主催: 日本臨床薬理学会
【背景】
チトクロームP450(以下CYP)は生体内での代謝を担う酵素である。生体外で産生される薬物などの基質を代謝する生体防御を担うCYPに比べ、生体内で産生されるホルモンなどの基質を代謝する生理活性を担うCYPでは基質特異性が高いことが知られている。
我々はこれらのCYPの基質特異性を理解することを目的とし、基質特異性が低いCYP3A4、基質特異性が高いCYP46A1をターゲットとして、これまでに分子動力学計算による基質特異性の評価を行ってきた。本研究ではどちらのCYPでも代謝されるコレステロールを基質として、活性部位から外部に移動する基質の評価を行った。
【方法】
分子動力学計算はAMBER20を用い、Protein Date Bank上に登録されているワイルドタイプの構造からHeme基以外を削除した。削除した構造に基質たるコレステロールを加え、欠測箇所をmodeller9.19により推定し、初期構造とした(PDB:ID 1W0F, 2Q9F)。
周期境界条件下で100 ns の計算をおこなった後、SMDにより基質をCYP外部へと移動させ、その経路とForceから基質の移動のしやすさを評価した。
【結果・考察】
CYP3A4において、複数の経路が存在したがCYP46A1では経路は一つであった。