日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第44回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 44_1-C-S06-2
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シンポジウム
歯学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に伴う薬理学の役割ー多職種連携・チーム医療・地域医療を中心にー
*筒井 健夫
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抄録

歯学教育モデル・コア・カリキュラム令和4年度改訂版には、歯科医師として求められる基本的な資質・能力として、多職種連携能力が掲げられている。内容は、患者中心の歯科医療を提供するために、医療、福祉、介護及び患者に関わる全ての人々の役割を理解し、お互いに対等な関係性を築きながら、チームとして協働していくとされている。

24大学の歯学部薬理学を担当する教員に、多職種連携・チーム医療・地域医療の教育の取り組みについてアンケートを行い、20大学より回答された。アンケートでは、1)歯学教育モデル・コア・カリキュラムの多職種連携、チーム医療、地域医療の実施で薬理学の講義や実習が含まれるか、2)含まれる場合の実施項目と内容、3)薬理学の講義や実習が含まれない場合、他の科目が行っているか、4)他の科目が行っている場合の実施項目と内容、5)歯科医師として求められる基本的な資質・能力としての多職種連携能力について、薬理学の立場からどのような学生教育を進めていくことが必要であるか、を質問した。

アンケートの結果は、1)について、2大学より薬理学が含まれる、または予定していると回答された。2)についての内容は、多職種連携において注意すべき薬物と薬理作用等の講義であった。3)について、17大学より臨床科目など他の科目が行っていると回答された。4)の回答について特色のある実施内容として、医学部、歯学部、保健医療学部の「学部横断型PBL」、他大学との合同PBL、災害時教育などが回答された。5)について教育に必要な事項として、医療体系全般のなかでのチーム医療を考える、医学系で使用される薬物を含め、薬理学の基本的な知識から問題解決のための思考をもつ、薬を中心とした多職種の繋がりや重要性を理解する、互いの連携からポリファーマシーを防ぐなどが回答された。また、課題としては、講義時間の制限(講義コマ数不足)や、試験問題形式が多肢選択式では暗記に頼る学習となり理解へは繋がらない、などが回答された。

本アンケートの結果に基づいて、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、歯科衛生士および他の医療従事者との連携のなかで、それぞれの患者さんの状態に応じて用いられる薬物療法を学ぶ教育を薬理学の立場から進めていくには何が必要かについて、皆さんと共に考えたい。

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