主催: 日本臨床薬理学会
個人情報保護法が令和2年、令和3年に立て続けに改正となった。令和2年改正は平成27年改正法により設けられた「いわゆる3年ごとの見直し」規定に基づく初の改正であり、仮名加工情報の創設や越境データの制限規定などといった社会情勢の変化に伴う多岐に渡る改正が行われた。また、令和3年改正により官民の個人情報保護制度の一元化がはかられ、課題とされていた「いわゆる2,000個問題」が解消されるとともに、学術研究分野における規律の見直しが行われることとなった。
これら矢継ぎ早に行われた個人情報保護法の改正は、医学・医療の分野にも大きな影響を与えている。昨年春には、学術研究機関等に該当しない医療機関において、診療情報を2次利用する研究実施が一時困難になるといった大きな混乱も発生した。また、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(生命・医学系指針)」は個人情報保護法を受けてさらに複雑に入り組んだ内容となり、研究に携わる関係者にとって非常に分かりにくく、研究しづらい状況に陥っているように見受けられる。
本講演では、個人情報保護法と医学研究の関係を確認しながら、医学研究関係者が陥りやすい誤解を紹介する。また、それらを踏まえ、個人情報保護法と生命・医学系指針において、診療情報を研究に利活用するために知っておくべき基本的ルールについて解説する。