日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第44回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 44_3-C-S36-2
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シンポジウム
Biomarker utilization for regulatory decision making医薬品評価におけるバイオマーカーの利用:規制当局の立場から
*石黒 昭博
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抄録

バイオマーカーを利用することにより医薬品のベネフィット・リスク特性の改善につながることが期待される。医薬品の投与対象患者の特定、用量の最適化、薬剤誘発性臓器障害の検出等、医薬品の開発段階から製造販売後のライフサイクル全般にわたり様々な目的でバイオマーカーは利用されている。

医薬品規制調和国際会議の専門家作業部会(ICH-M12 EWG)において、薬物相互作用の可能性を評価するための初の調和ガイドラインの作成が進む [1]。このEWGでは、薬物相互作用のリスク評価のための新たなアプローチとして、薬物の代謝および輸送の基質である内因性バイオマーカーの活用が議論されている。臨床試験において内因性バイオマーカーをモニタリングすることにより、特定の経路を介した薬物の相互作用の可能性を早期に示すことができる可能性がある。代表的な内因性バイオマーカーとして、OAPT1B基質のCoproporphyrin I(CP-I)、OCT2/MATEsの基質であるN1-methylnicotiamide(NMN)、OAT1/3の基質であるpyridoxic acid(PDA)が知られている。内因性バイオマーカーの実用化に向けて、内因性基質の性能特性に限界(例えば、感度、選択性、年齢や食事や疾患状態による様々な変動性)があることをよく理解したうえで、DDI評価への利用可能性を探ることが求められる。

本発表では、作成中のICH M12ガイドラインに加え、PMDAが取り組む医薬品評価におけるバイオマーカーの利用を促進する取組み(関係する行政指針、ファーマコゲノミクス・バイオマーカー相談において適格性確認した安全性バイオマーカーの相談結果の公表 [2])を紹介する。また、医薬品規制当局の立場から、医薬品評価におけるバイオマーカーの利用を更に促進するための今後の展望についても述べたい。

[1] ICH M12 Drug Interaction Studies, step 2b draft Guideline, 24 May 2022, https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239543

[2] Record of Consultations on Pharmacogenomics / Biomarkers, PMDA website, https://www.pmda.go.jp/english/review-services/consultations/0001.html

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© 2023 日本臨床薬理学会
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