日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第45回日本臨床薬理学会学術総会
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一般演題(口演)
機械学習を利用したバイオマーカーの一斉解析に基づく心不全の長期進行モデル解析
吉岡 英樹田村 智樹神 亮太中里 裕貴樋坂 章博佐藤 洋美
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p. 28-

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抄録

【目的】心不全は、心ポンプ機能低下に起因した様々な症状を呈する臨床症候群である。国内外のガイドラインでは、適切な治療介入によるステージ進行抑制が推奨されるが、その病態は複雑であり、単一の症状や所見に基づく判断は難しい。本研究では、限られた期間の多数の観察結果から慢性疾患全体の進行と個別患者の罹患期間(疾患年齢)を推定する技術であるSReFT(Ishida T, Tokuda K, Hisaka A, et al. Clin Pharmacol Ther. 2019)を、機械学習の枠組みで拡張した新たなアルゴリズム「SReFT-ML」を利用することで、複数の疾患バイオマーカー変化を一斉解析し、心不全の長期進行をより定量的に理解することを目的とした。 【方法】千葉大学倫理審査委員会の承認のもと、国立心臓肺血液研究所が運営する試験データリポジトリBioLINCCより、GUIDE-IT試験(NCT01685840)に参加した心不全患者894例の匿名化データを入手した。GUIDE-IT試験は、NT-proBNP目標値に基づく薬物治療の有用性を検討した試験であり、NT-proBNPのほか、様々な臨床/血液学的検査を含む約2年の経時的なバイオマーカーデータが利用可能であった。 【結果・考察】SReFT-MLによる一斉解析の結果、十数種類のバイオマーカーについて、数十年にわたる経時的変化が捉えられた。特に大きな変化を示したのは、NT-proBNP、血圧、腎機能であり、心不全の長期進行はこれらの変化によって定量的に説明できる可能性が示唆された。さらに、得られたモデルを用いて各患者の試験組入れ時点での疾患年齢を推定した結果、疾患年齢が増加するにしたがって予後が悪化する傾向が認められ、この傾向は心不全の重症度指標であるNYHA分類よりも明確であった。一方で、解析に使用するバイオマーカーの種類や条件によっては異なる進行パターンが示される場合もあり、心不全病態や解析集団の不均一性を反映しているものと考えられた。 【結論】SReFT-MLにより、複数のバイオマーカー変化に基づく心不全の長期進行モデルが構築された。モデルにより予測される個々の疾患年齢は、予後に関する定量的指標として有用であり、将来的に患者背景や薬物治療効果との関連が示されれば、治療個別化等にも応用可能と考えられた。病態や集団の不均一性に起因すると考えられる解析の不安定性も認められたことから、適切なバイオマーカーの絞り込みや、外部データを用いた検証が、今後の課題と考えられた。

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