主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
p. 77-
【目的】 Quantitative systems pharmacology(QSP)モデルの構築には,SimBiologyが汎用されており,これはグラフィカルユーザーインターフェースで視覚的にモデル作成を行うことが可能という点で非常に有用なツールである。一方で,非線形混合効果モデルを用いて臨床データへのfittingを行う場合には,解析に長時間を要することや簡単なモデルにおいても収束しない場合があるという問題点があげられる。そこで,本研究ではSimBiologyからNONMEMおよびnlmixr2へ自動変換するツールを開発し,SimBiologyでモデル構築を行いNONMEMもしくはnlmixr2で臨床データへのfittingを実施するワークフローの検討を行った。 【方法】 MATLAB,R,およびPythonを使用してSimBiologyのプロジェクトファイルからNONMEMスクリプトおよびnlmixr2のモデル関数に変換するツールを開発した。SimBiology でfittingを行った場合とNONMEMおよびnlmixr2に変換しfittingを行った場合のパラメータ推定に要する時間と推定精度について評価した。線形消失の1コンパートメントモデルを仮定し,50例の仮想患者から静脈内投与後の血中濃度データを発生させ,fittingに使用した。 【結果・考察】 SimBiologyで構築したモデルをNONMEMおよびnlmixr2へコード変換し,stochastic approximation expectation maximizationアルゴリズムでfittingを行ったところ,SimBiologyではパラメータ推定完了までにおよそ37分以上の時間を要したのに対して,NONMEMおよびnlmixr2では最大でも20秒程度と大幅に短縮された。また推定精度に関しても,SimBiologyではシミュレーションデータ発生に使用した母集団平均値パラメータのCL,Vから10%程度の乖離が認められたのに対し,NONMEMおよびnlmixr2はいずれも乖離が±4.0%以下であり,高い推定精度を示した。これらの結果は,本研究で提案したワークフローがSimBiologyで構築したモデルの臨床データへのfittingを高い推定精度を維持しつつ,より短時間で実施できる可能性を示している。 【結論】 本研究で提案したワークフローは,効率的なQSPモデル構築および臨床データへのfittingを可能にすると期待される。