日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第45回日本臨床薬理学会学術総会
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シンポジウム
看護実践に必要とされる臨床薬理学教育:看護師の立場から
武村 雪絵
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p. 83_-

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抄録

医療現場において、薬物は多くの病気の主たる治療手段です。苦痛症状の緩和や病気の予防、手術や検査の実施のためにも薬物が用いられます。薬物の投与とその反応の観察は、看護業務において大きな比重を占めています。看護師が薬物動態や薬理作用を理解した上で、患者に適切に薬物を投与したり、患者の自己管理能力を高めたり、症状や経過を観察して医療チームにタイムリーに共有したりすることが、患者が薬物の恩恵を最大限に享受しながら生活することを可能にするでしょう。 一方で、薬物関連業務の多さは、看護師のインシデントの多さとしても表れます。多くの医療機関において、薬物に関する看護師のエラーがインシデントレポートの上位を占めているのではないでしょうか。医療安全の観点から、「くすりはリスク」として、看護師は正しく薬物を投与する方法を繰り返し指導されます。注意を要する薬物や、特別な管理を必要とする薬物についても繰り返し学びます。確かに、最大限の注意を払って、正しく薬物治療が行われるようにすることは、看護師の責務といえます。しかし、大きな比重を占める業務だからこそ、ただ責務(責任をもって果たさなければならない義務・業務)としてのみ薬物と向き合うことは、専門職として医療現場で働く喜びを損なってしまうように思います。 薬物が生まれるまでのプロセスとそのプロセスに関わった人々に思いを馳せることは、薬物に関心を寄せ、薬物を大切に患者に届ける使命を自覚することにつながるのではないでしょうか。また、今、自分が扱っている薬物の動態や薬理作用を理解することで、指示通りに薬物を投与するという業務を、専門職としての看護実践に変えることでしょう。 医療現場では病棟薬剤師の配置が進み、以前は看護師が担っていた薬物関連業務の一部が薬剤師にシフトされています。しかし、単なるタスクシフトで終わらせてはもったいないといえます。看護師は薬剤師とコミュニケーションをとりながら、事例を通じて薬物について学ぶことが可能となりました。その際、看護師が薬理学の基本的知識を有することが、薬剤師とのコミュニケーションを支える基盤となるでしょう。

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