主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
p. 95-
【背景】プロトンポンプ阻害剤(PPI)や抗菌薬(ABx)の投与により腸内細菌叢が乱れ,PD-1/PD-L1阻害薬(IO)の治療効果が減弱することが報告されている.前臨床データでは,様々な薬剤に免疫調整作用があり,IOの効果に影響を与えるとされる.我々の少数例の検討で,進行・再発非小細胞肺癌(NSCLC)における化学療法+PD-1/PD-L1阻害薬療法(Chemo+IO)の効果予測因子として特定の薬剤曝露歴(ABxやレニン・アンジオテンシン系阻害薬(RAS-I))が関連することを検討した.今回症例数を増加し,両薬剤のChemo+IOの治療効果への影響を再検討した.【方法】2016年8月から2024年2月の間に当院で1次治療としてChemo-IOを開始したNSCLC患者の診療記録を検討した.ABxとRAS-Iの曝露歴はChemo-IO開始4週前から開始時までの期間で収集した.【結果】症例数は289例.患者背景;年齢[中央値]:72歳[40-87],男性:219(76%),PS 0-1:266(92%),PD-L1発現≧50%:53(18%),ドライバー遺伝子陽性:43(15%),ABx曝露あり:63(22%),RAS-I曝露あり:87(30%).ABx曝露群ではChemo-IOのPFSとOSが有意に不良であった(PFS; 5.5m vs. 7.6m, ハザード比[HR]=1.76,95%信頼区間[CI] 1.31-2.37,p<.001,OS; 9.7m vs. 16.6m, HR=1.81,95%CI 1.31-2.51,p<0.001).RAS-I曝露群はPFSとOSが有意に良好であった(PFS; 8.4m vs. 6.1m, HR=0.69,95%CI 0.52-0.93,p=0.01,OS; 22.0m vs. 12.8m, HR=0.64,95%CI 0.46-0.88,p=0.005).年齢,PS,PD-L1発現,ドライバー遺伝子の有無,両薬剤の曝露歴で実施したPFSの多変量解析からも,両薬剤の曝露歴が有意に予後へ影響を及ぼす結果を示した.【結論】NSCLCのChemo-IOにおいてABx曝露は効果不良因子であり,RAS-Iが同治療の効果へ良好な影響を及ぼすことが示唆された.