主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
p. 96-
【目的】免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による肺がん治療の質向上の為には、免疫応答の適切な評価が不可欠である。免疫応答は癌腫や微小環境等の多くの影響を受けて変動し、治療経過中の評価に窮する場面がある。近年、免疫関連有害事象や予後に関わる好中球/リンパ球比(NLR)等の血液学的指標の有用性や、マイクロRNAs(miRNAs)に関する知見があるが、治療経過中の変化や癌腫を考慮した検討は不足している。本検討では、免疫応答に関わる代表的なmiRNAs血中濃度のICI治療管理に於ける有用性について、免疫賦活化指標インターフェロン(IFN)-γ及び血液学的指標に対する寄与率を利用して、癌腫別に検討した。【方法】ペムブロリズマブ単剤を投与したIIIb-IV期の扁平上皮肺癌(SQCC)4例(71歳[68.3-74.8])及びドライバー遺伝子変異陰性肺腺癌(ADC)4例(68歳[66-71.5])を対象とした。各コース直前に採血し、血漿中のmiR-146a-5p、miR-21-5p、miR-29a-3p、miR-17-5p及びmiR-155濃度はRT-qPCR法、IFN-γ濃度はELISA法にて測定した。血液学的指標としてNLR、血小板/リンパ球(PLR)及び好中球・血小板/リンパ球(SII)を用いた。変化率は、治療前値に対する相対値を用いた。癌腫間の比較はWilcoxon検定を用い、指標間の関係は単回帰及び重回帰分析にて解析した。寄与率の基準は60%、有意水準は5%とした。【結果・考察】ADCと比較してSQCCでは、IFN-γ、miR-146a-5p及びその変化率、miR-29a-3p変化率及びmiR-17-5p変化率は、各々有意な高値を示した。血液学的指標に癌腫間差異は無かったが、変化率ではADCと比較してSQCCのPLR及びSIIは、有意な低値を示した。単回帰分析から、血液学的指標に対するmiRNAsの関与が認められたが、寄与率は低かった。SQCCでは、IFN-γの促進因子としてmiR-146a-5p変化率(寄与率68%)が抽出され、IFN-γはPLR及びSIIの各々に対する促進因子(寄与率73%及び85%)として抽出された。重回帰分析から、SIIに対してIFN-γが促進的に、miR-17-5p変化率が抑制的に寄与率87%で関与することが示唆された。【結論】両癌腫共に血液学的指標の変化に対するmiRNAsのみの寄与は小さいが、SQCCではmiR-17-5pの変化率及びIFN-γへの関与を介したmiR-146a-5pの変化率が免疫応答を示唆する指標として有望であると推察する。今後は、症例を重ねて検証する予定である(Machida M. 科研費21K06648)。