日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第45回日本臨床薬理学会学術総会
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一般演題(ポスター)
癌化学療法で使用される血管新生阻害薬と治療関連心血管毒性:後方視的コホート研究
荒川 泰弘志賀 剛
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p. 97-

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抄録

【目的】分子標的治療薬は多くの癌において化学療法の有効性を向上させたが、この進歩に伴い新たな臨床的課題も浮上している。血管新生阻害薬では高血圧や血栓塞栓症など心血管系有害事象のリスクが認識されるようになった。これらの副作用は適切な心血管リスク評価と管理が不可欠である。この背景を踏まえ、血管新生阻害剤を含む癌化学療法を受けた患者での心血管合併症の発生率とその影響を評価した。【方法】本研究は東京慈恵会医科大学附属病院で、2018年1月~2019年12月に心血管系の有害事象と関連のある癌化学療法を受けた患者を対象とし、後方視的コホート研究として行った。電子カルテから抽出された臨床データに基づいて、血管新生阻害薬 (アキシチニブ、ベバシズマブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、スニチニブ) を使用した277症例を解析対象とした。癌治療関連心血管毒性 (CTR-CVT) の発生を主要エンドポイントとし、関連するリスク要因を評価した。本研究は東京慈恵会医科大学の倫理委員会の承認を得て実施された [31-469 (10051)]。【結果・考察】血管新生阻害薬単独、または血管新生阻害薬を含む抗癌剤治療を行った277症例において、年齢中央値は64歳 (21-96歳)、男女比は108:169。主な癌の内訳は、大腸癌65例、卵巣癌55例、乳癌37例、腎癌37例、悪性神経膠腫28例。2020年8月までの観察期間中に、CTR-CVTが11例 (4%) で発症した。内訳は、血栓塞栓症3例、急性冠症候群3例、心不全/心機能低下 2例、高血圧2例、不整脈1例であった。CTR-CVTを発症した11例中4例で、血管新生阻害剤の中止または変更を必要としたが、CTR-CVTによる死亡はなかった。また、合併症として高血圧、糖尿病、慢性腎疾患のいずれかを持つ症例は心血管系有害事象のリスクが高かった (オッズ比3.6) 。【結論】血管新生阻害薬を含む癌化学療法には一定の心血管合併症のリスクが存在する。心血管系のリスクファクター (高血圧、糖尿病、慢性腎疾患) を合併症として持つ症例で心血管系合併症の発現率が高かった。この結果は、血管新生阻害剤を用いる際の心血管系管理の重要性を強調している。より多くの症例と長期間のフォローアップによって、効果的な予防と管理策を探求する必要がある。

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