主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第46回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: 東京都千代田区
開催日: 2025/12/05 - 2025/12/06
p. 27-
虚血性心疾患(特に冠動脈疾患)の予後改善において、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の管理は最も確立された戦略の一つである。従来からスタチンを基盤とした治療は数多くの大規模試験で心血管イベント抑制効果が示され、二次予防における必須治療薬となっている。さらに近年、エゼチミブやPCSK9阻害薬などの薬剤が臨床現場で広く使用されるようになり、より厳格なLDL-C低下が可能となったことから、特に急性冠症候群患者におけるLDL-C低下療法に対しては「より早く、より強く」という治療概念が広まりつつある。一方で、LDL-C管理に関しては依然として課題が残されている。第一に、目標値未達患者が実臨床では少なくないこと、第二に高齢者や多併存症患者におけるエビデンスの不足、第三に費用対効果や長期アドヒアランスの問題である。さらに、日本人を含むアジア人集団における至適管理目標値設定には人種差やエビデンスの外挿に関する議論も必要である。このような背景をもとに、本講演ではLDL-C低下療法の最近の知見とガイドラインの現況を概説するとともに、今後の脂質管理戦略の方向性について展望したい。