抄録
当院では合併症に特化した報告手段がなく,全てインシデントとして報告を求めていたが,不可避な出来事としての合併症を過失的なイメージのあるインシデントとして報告することに抵抗があると現場の医師からは意見が寄せられていた.そこで,医師が抵抗を感じることなく報告できるよう合併症報告の導入を検討し,2021年5月6日よりその運用を開始した.運用開始前1年間と比較して,総報告数に占める合併症報告の割合や,全職種に占める医師の報告割合は増加を認めた.身体的影響レベル3b以上の合併症を必須の報告対象としたため3bや4bの事例が増加したが,レベル2や3aの事例についても増加を認めた.また,心臓血管外科や脳神経外科を含む8診療科から新たに報告を認めた.運用開始後,医師から自主的な報告が増加しており,合併症報告は医師の報告意識の醸成に寄与したと考えられた.