医療の質・安全学会誌
Online ISSN : 1882-3254
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原著
看護部長のがん看護の質の評価に関する認識
奥山 絢子武村 雪絵片岡 惇
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2024 年 19 巻 1 号 p. 3-13

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抄録
目的:本研究では,看護部長の視点から,がん看護の質として,把握する必要性のある要素を明らかにすること,看護部長や病院の特性による認識の差を明らかにすることを目的とした.

対象と方法:全国のがん診療病院849施設の看護部長を対象に,2021年9月~10月にインターネット調査を行った.調査内容は,文献調査に基づきドナベディアンの構造,過程,結果別に60項目を作成し,がん看護の質の評価のために施設の状況を把握する重要性と継続的なモニタリングの必要性の2点について「とてもそう思う」から「全くそう思わない」の7件法で尋ねた.探索的因子分析を実施し類似項目を整理した後,回答者の属性と病院の特性別に認識の差についてMann-Whitney検定を行った.

結果:382名から回答を得,うち279名を分析対象とした(有効回答率32.9%).がん看護の質として,把握する重要性の認識は,「患者の生活の質(中央値6.20)」と「患者安全のための手順遵守実施状況(6.20)」が最も高かった.継続的なモニタリングの必要性は,「看護師の質・量の確保(6.33)」と「患者の生活の質(6.20)」が高かった.看護経験30年以上では,「看護ケア方針」の把握の重要性とモニタリングの必要性の認識が高かった(p<0.05).

結論:今後これらの要素を中心に,がん看護の質指標を開発し,継続的に把握する体制を整備する必要がある.
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