抄録
がん患者に適切なケアを提供するためには,患者の症状を注意深くモニタリングする必要がある.本研究では,患者報告アウトカム(PRO)の実臨床への実装について,看護師からみた関連要因を明らかにすることを目的とした.PubMed等を用いて,2017年1月17日から2023年1月18日に公表された英語文献を対象に,PROの実装について,看護師の認識を記述した24文献を選定した.抽出された要因は,The Consolidated Framework for Implementation Researchの5領域に分類した.結果,個々の患者に応じた対応がとれるようにすること(例:自由記載欄に医療従事者からの連絡を欲しいことを記述する),患者と医療従事者でPROの共通認識をもてるようにすること,更に,ファシリテーターとスタッフのオープンな対話や,スタッフが自信をもってPROを行なえるように試験期間を設ける等が必要なことが分かった.