医療の質・安全学会誌
Online ISSN : 1882-3254
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原著
我が国の看護師が捉える「不穏」について
井上 千穂齋藤 信也古賀 雄二ローレンス 綾子平松 貴子清水 克彦
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キーワード: 不穏, RASS
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2024 年 19 巻 3 号 p. 277-289

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抄録
筆者らはこれまで,我が国の看護師が頻用する「不穏」という用語について,その捉え方を整理する目的で,概念分析を実施してきた.その結果,患者が過活動状態にあり,その行動が理解できなかった場合および,患者に看護師の意図が伝わっていないと感じた時に患者が「不穏」状態にあると判断していることが明らかとなった.また,我が国の看護師は,「不穏」という用語を,厳密な定義に基づくのではなく,ある程度操作的に用いることで,看護ケア上の有用な徴候を発見しようとしていることが示唆された.
そこで,今回このような知見に基づき,各専門分野で『「不穏」患者』に対する看護実践する看護師への質問紙調査を行い,臨床における「不穏」という用語の実際の捉え方を検討した.分析の結果,「不穏」の捉え方については看護師の経験年数や,配属部署により多少の傾向はあるものの,大きなばらつきが認められた.「不穏」判断に基づき投薬や処置を行う場合,このことに起因する患者の不利益が生じる恐れがあると考えられた.これを回避するには,「不穏」という曖昧で多義的な用語を用いるのではなく,Richmond Agitation-Sedation Scale(RASS)のような客観的な指標を用いることで,その標準化を図ることが重要と考えられた.
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