2018 年 69 巻 2 号 p. 249-258
本稿は, 「社会学分野の参照基準」という文書の意義を, その文書の作成が必要とされたそもそもの文脈であるところの, 「大学教育の質保証」との関連で, 論じることを目的とする. 日本では「大学教育の質保証」は, かつては主に「大学設置基準」等による行政制度によって行われていたが, 大学設置基準等の改正によって, 「自己点検・自己評価」等, 大学が設置後に行う「質保証の取組」によって補われるように変化した. けれどもこれまでの「自己点検・自己評価」活動に関しては, 機関単位の認証評価や法人評価に留まり, 教育プログラム単位の質の点検が十分に行われていないことが, 問題となっている. 今後は, 各大学において, 学部単位・学科単位・教育プログラム単位で「自己点検・自己評価」を行うことが求められる. そして, こうした大学教員自身による教育プログラムの「自己点検・自己評価」こそが「大学教育の質保証」の取り組みの中心になることが, 期待されている. 「社会学分野の参照基準」は, 他の分野別参照基準と同じく, 各大学で取り組むことが期待されている「教育プログラム」単位の質保証のための取組に資することを, 主な目的としているのである.