社会学評論
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看護労働に関する一考察
羽江 忠彦
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1978 年 29 巻 3 号 p. 2-19

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抄録
看護労働が問題化してから久しい。看護婦は、近年、自己を専門職として実現する方向で、自らと自らをとりまく諸問題を解決しようとしているかのようである。
高学歴化、知識労働化、ホワイト・カラー化等と指摘される職業構造にみられる諸変化は、非専門職業の専門職化を帰結する流れとして重視されている。ここでは既成専門職も伝統的態様にとどまり得ず、自らを変化させざるを得ない。したがって、非専門職も既成専門職の変化を見通しつつ、新たな専門職職業モデルを模索しながら、自らを変化させねばならない。
教師、看護婦等を中心に、専門職志向の非専門職に関する検討が蓄積されつつある。しかし、それらの検討は、看護婦を例にとれば、看護労働に分析を加えた場合には現状での実践的改善への寄与に傾き、専門職化要求に検討を加えんとした場合にはその要求をめぐる意識状況の把握に傾き、新たな看護職業モデル構築との関わりは未だ不十分である。さらに、社会学的研究は非常に不足していると思われる。
本稿は、看護労働それ自体に看護婦が期待する満足感-規範感と充足感の分析を手掛りとし、看護労働の質的構成に検討を進める。その上で予測される看護労働のモデル化を試みた。
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