社会学評論
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教育社会学との関連におけるサイコヒストリーの方法論的特質
伴 恒信
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1979 年 29 巻 4 号 p. 31-43

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抄録

「サイコヒストリー」とは、精神分析学の基礎的方法論をもって歴史的人物や歴史事象を解明しようとするもので、E・H・エリクソン、R・J・リフトン、K・ケニストン等が中心となりインフォーマルな形で設立した一種の学派である。本稿では、このサイコヒストリーを教育社会学との方法論上の関連に焦点づけて考察する。教育社会学は、従来より精神分析学と、 (1) 対象の共通性、 (2) 方法論的依拠の二点において関係が深かったが、近年では精神分析学者の側から社会学的領域へ関与を深める者が増大し、ますますその学際領域が拡大してきた。そこで社会学者も精神分析的概念を頻繁に援用するようになったものの、その際それらの概念を自分たちの学問視座に還元して使用する傾向がみられる。こうした傾向は、既にフロイトの歴史的研究における還元主義的解釈に現われていた。サイコヒストリーは、このフロイトのもつ還元主義を、 (1) 弁証法的発達論、 (2) 社会的共有イメージの二つの方法論で克服している。こうした方法論は同時に教育社会学に対しても、社会と人間発達との理論的統合、および質的事象の把握という調査方法論の補完の両面にわたって貢献すると期待されるのである。

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