社会学評論
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コミュニケーション研究における関係分析の再構成
池田 寛二
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1979 年 30 巻 2 号 p. 25-42

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抄録

社会的コミュニケーションを、物理的及び社会的諸条件によって規定された潜在的な人間関係が顕在化する過程の帰結と見做し、その過程を一般的に説明することのできる分析枠組を検討することが本稿の目的である。まず第一に、このような説明図式にとって有効な分析枠組の設定をめざして、E・ロジャースらによって定式化された既存の関係分析に対して批判的な検討を加えるなかから、関係分析の枠組を再構成する。批判の眼目は、様々な属性についての関係、即ちホモフィリー-ヘテロフィリーが一次元的なものではなく、属性によってその関係が相互作用に及ぼす効果が異なるから、その差異を属性間の次元のちがいとしてカテゴライズすべきであると主張することにある。私見では、関係を決定する様々な属性は、(一) 認知段階において他者の存在を認知するためのきっかけとなる属性、(たとえば、性別、年齢、職業等主にデモグラフィックな属性)、(二) 評価段階において特定の他者を選択するために重要な機能を果たす属性 (たとえば、態度、信念、感情)、(三) 顕在的行動として観察される属性 (行動もしくは行動様式)、の三つにカテゴライズされ得ると思われる。この点を中心にして関係分析の再構成が試みられるが、ここに再構成された関係分析の有効性を、流言の伝播経路の分析を応用例として論証するのが第二の論点である。最後に、関係分析の理論的位置付けについても若干補足する。

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