社会学評論
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一九七〇年代における農村社会の変動と村落
蓮見 音彦
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1981 年 31 巻 4 号 p. 2-15

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抄録
本稿は来るべき日本社会学会第五五回大会 (一九八二年) でのシンポジウム「日本社会の現状分析」にむけて、七〇年代における地域社会の状況を整理するという趣旨で行なわれた第五三回大会テーマ部会の報告にもとつくものである。このような趣旨からすれば、ここでは (1) 七〇年代における農村社会の変化を概観するとともに、 (2) この時期における農業・農村への政策的働きかけの特質を検討し、 (3) それらに対して農村社会学からどのような取り組みがなされているかを明らかにすることが課題となろう。本稿ではこのうち主に (2) と (3) をとり扱った。すなわち、七〇年代における農村政策の分析にもとづき、政策の上で村落に新たな位置づけが与えられつつあることを指摘し、それに関連して農村社会学において行なわれてきた村落の把握をめぐって提起されている若干の議論を検討した。それらの検討の結果、現在の国家独占資本主義段階における政策のもつ複雑な意味と、その下での屈折した農民層分解の形態、さらにわが国村落の変質解体におけるきわめて特異な推移とを、あらためて相互連関的に把握する必要があることを指摘している。
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