社会学評論
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一九七〇年代と都市化社会
倉沢 進
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1981 年 31 巻 4 号 p. 16-31

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抄録
一九七〇年代の日本の地域社会の変動は、一言でいえば都市的生活様式の深化と拡大という意味での都市化過程として特徴づけることができる。それは都市・農村を包んで都市的生活様式が全般的に浸透したことによって都市化社会の形成とも呼びうる。
七〇年代の基底的社会動向として、 (1) 人口移動の相対的安定化、 (2) 都市人口構造の成熟化、 (3) 都市的生活様式の深化・拡大、 (4) 新市街地の拡大、 (5) 専門処理システムの限界の露呈、以上の五つの動向につき検討を加え、人口配置の上で都市化社会の形成がほぼ準備されたこと、生活様式の面でまた地区レベルのアメニティの面で、新しい問題状況が発生していることを明らかにする。
このような新しい問題状況に対する、計画・政策・運動側の対応として、次の四点を整理する。 (1) 生活基盤の重視、 (2) 地区環境アメニティの重視、 (3) 地域文化の重視、 (4) コミュニティの社会目標としての設定。
最後に、このような社会動向を受けて生みさ出れた社会学的アプローチの方向について、 (1) 地域社会学の動き、 (2) コミュニティ論、 (3) 都市化社会論と都市的生活様式論の三点に分けて考察する。
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