職場における男女平等化、女性の活用・登用が今日緊急の課題となっている。本稿では、女性役職者を取り上げ、そのキャリア形成過程を分析する。
これまでの女性役職者研究は、女性のキャリア形成の阻害要因に関するものが主であったが、本調査研究は、促進要因の解明を目標とする。その際、主体的要因を重視するため生活史の方法を用いている。
第一に、女性役職者がどのようにしてキャリアを形成してきたのかを、入社以降現在までの個人の職業生活史を辿ることによって、主体的要因と客観的要因との相互連関の中で明らかにする。同時に、キャリア形成過程の質的代表性に注目して、類型化を試みている。
第二に、キャリア形成を促進した諸要因の中で、特徴的にみられたものについて検討を加える。それらは、歴史、産業、企業、人間関係、運動、意識などの諸要因である。