社会学評論
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プロフェッション化と近接職種間関係
秋山 憲治
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1986 年 36 巻 4 号 p. 457-470

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抄録
今日、多数の職種がプロフェッション化を志向しているにもかかわらず、職種ごとにその可能性は様々であり、また大なり小なり限界が存在する。この可能性と限界は、ある職種の従事者がとり結ぶ社会的諸関係のなかでも、近接職種間関係においてもっとも明示される。しかし従来この関係は、プロフェッション化にまつわる問題としてはあまり注目されなかった。そこで本稿では日本の医療、法務、および税務の領域を参考に、近接職種間関係の態様とその規定要因を考察し、プロフェッション化の可能性と限界を展望する。
まず、職務遂行場面において、近接職種相互にあたる一方の職種が他方の職種によってプロフェッション化を抑制されるような関係的位置を、経営体間、経営体内を含めて五種類に整理する。次にそれらの関係的位置から、固有の近接職種間関係として職務にかんする二つの性質を抽出する。そして両者の性質の原因を、その職種が保有・利用する知識の体系化の程度と、分業形態からみた技術の展開の範囲・方向という二点にもとめる。以上をふまえて近接職種間におけるプロフェッション化の条件を仮説として導き出し、各職種の現況に照らし合わせると、前述の原因を解消可能と思われる職種と、解消不可能と思われる職種との相違が明らかになる。
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© 日本社会学会
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