社会学評論
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都市周辺部における地域住民組織と権力構造
-札幌市郊外S連合町内会を事例として-
平川 毅彦
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1986 年 37 巻 2 号 p. 134-151,269

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抄録
地域レベルにおける政治現象の研究は、地域のあり方を検討するうえでも欠くことができない。本研究は、ハンター以降のアメリカにおけるコミュニティ権力構造研究の成果と反省とをふまえ、一九五五年から一九八三年に至る、札幌市郊外S地区における地域住民組織を中心としたリーダー層を分析し、それを規定していた諸要因を解明する。その際、地域イシューとリーダー層との関係を、対象地域の変動とのかかわりでとりあげることに主眼を置き、地位法・声価法を併用した。その結果、確かに、都市的な性格が強まるにつれてリーダー層の分化傾向や、地域住民組織の機能縮小が顕著になっていたものの、「旧中間層支配」は「土地」「ネットワーク」「情報」に支えられ、形を変えながら依然として存続していた。しかも、これらを権力基盤として成立させていた社会・経済的条件は地区のスプロールであり、生活施設整備を志向する「来住者層」と、自己の利権を維持しようとする「地元層」との間のバランス=オブ=パワーであったことが明らかにされた。
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