心身医学
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シンポジウム 心身症の治療戦略—極度の低体重神経性やせ症患者の入院治療—
低体重の摂食障害の入院治療・身体管理について
田村 奈穂
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2021 年 61 巻 1 号 p. 39-45

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抄録

低体重の摂食障害患者の入院治療・身体管理はとても困難なことが多く, 治療者としてさまざまな技量を問われる. 特に低体重患者の治療開始の契機は緊急入院のことが多く, 外来で治療契約をした予定入院とは異なり, 治療契約を結べないまますぐに治療を開始すべき状況が多い. 入院の必要性を説明しても同意が得られないことも多く, 医療保護入院という選択肢がない心療内科では, 入院までに時間や労力を要することもある. 家族の力を借りたり, 家族に入院後こそ命の危険性があることを十分に説明する必要がある. 低体重であれば身体合併症が重篤になりやすい. 小さな変化でも対応が遅れると重症化しやすいので, 主に看護師と密な情報交換をしつつチームとして治療を進めていく. 病態把握をしつつ家族とも協力しながら, 医学的に必要な治療の部分と, 本人に選んでもらう部分とを両方作るなどの柔軟性も大事である. 治療意欲をどう高め維持するかも工夫を要する.

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© 2021 一般社団法人 日本心身医学会
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