社会学評論
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〈同一性〉イデオロギーのクリティーク
山越 正彦
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1988 年 39 巻 1 号 p. 32-44

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抄録
イデオロギーが同一性思考の普遍的形態であるとしたら、イデオロギーにどんな普遍概念を対置しても無意味であろう。さらに、学問のモダニズムが「同一性への意志」といわれ、ポスト・モダニズムが「差異性への欲望」といえるにしても、いずれにせよそれらは〈資本〉の自己増殖の模像なのであり、資本主義という球体に縁どられた表象にほかならない。しからば、イデオロギー・クリティークはマテリアルな「非同一性」のざらざらとした抵抗にあくまで固執する、球体破砕の活動へと旋回せねばならない。
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© 日本社会学会
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