社会学評論
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総選挙における投票率の説明
宮野 勝
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1989 年 40 巻 2 号 p. 166-179,248

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抄録
一九七六年から一九八三年の四回の衆院選について選挙区レベルの投票率を説明する。理論なき計量モデルから離脱するために、一方で説明変数として従来提起されてきたものをまとめ、他方で個人レベルの〈選択モデル〉から理論的に予想される変数を考察し、それらを用いてマクロの選挙区レベルのデータで検証することを試みた。
〈選択モデル〉については、選挙結果に個人が影響しうる主観的確率を決めるメカニズムについて再考し、日本の総選挙に適合的と思われる二つの変数 (「一票の重み」と「接戦度」) を提案した。
議員定数問題に関わる「一票の重み」に特に着目し、一票の重みが軽いと投票結果への個人の影響を少なく感じて参加意欲が減退して投票率が下がるのではないかと予想したが、実際、一票の重みと投票率とは選挙区単位では高度に正の相関がある。そこでこの相関が疑似的なものでないか検討するために四つの対立仮説 (都市説、年齢説、居住年数説、産業説) を立てたが、重回帰分析でそれらの変数をコントロールしてもなお、四回の選挙を通じて一票の重みは有意に投票率を説明した。したがって、本稿における検討の範囲では、「一票の重み」が軽いと投票率が下がるとの仮説は支持された。
重回帰分析では他の変数の効果も同時に調べられ、結論として、接戦度、都市度、若者比率、雨量なども投票率に影響するが、居住年数、一次産業比率などは説明力が弱かった。
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