2022 年 59 巻 1 号 p. 12-18
T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)は小児ALLの約10–15%に認められ,思春期・若年成人期(AYA)世代以降頻度が増加し,成人ではALLの25%程度を占める疾患である.小児T-ALLは,B前駆細胞型ALL(BCP-ALL)とは異なった臨床的特徴や遺伝子異常を有し,近年,デキサメタゾン,L-アスパラギナーゼやネララビンなどの治療強化によって,頭蓋照射の撤廃も取り組まれる中,治療成績の向上が認められてきている.さらにはAYA世代以降のT-ALLにおいても小児型治療を用いた治療戦略で良好な成績が報告されてきている.小児T-ALLの予後因子については,初発時白血球数や年齢などの臨床的意義はBCP-ALLに比べて乏しく,遺伝子異常との関連も不十分なものも多い.Early T-cell precursor ALLについても近年の報告から予後不良因子としての位置づけは明らかではなく,現在では白血病細胞の微小残存病変が最も重要な予後因子として,多くの臨床試験にて層別化に用いられている.さらに最近ではSPI1融合遺伝子が予後不良因子として注目されてきている.近年抗CD38抗体ダラツムマブ,JAK2阻害剤ルキソリチニブやダサチニブなどが有効である可能性が示され,新しい知見に基づいた標的治療の開発が今後期待される.