社会学評論
Online ISSN : 1884-2755
Print ISSN : 0021-5414
ISSN-L : 0021-5414
情報化は多文化化を可能にするのか?
多文化化と情報化された文化
川崎 賢一
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 44 巻 4 号 p. 430-444

詳細
抄録

本稿の目的は、いわゆる情報化が多文化主義あるいは多文化化を可能にする条件を検討することである。そのために、情報化とは何か、情報化された文化の特色について説明した後、その文化をリードする階層とメカニズム、支配される側の問題を指摘する。次に、多文化化と情報化の接点を探り、情報教育・エスニックメディア・機械翻訳などを具体的に分析する。そして、最後に、情報化は多文化化を本当に可能にするかを検討する。結論として、情報化は多文化化を支える条件にもなりうることを述べる。しかし、情報化は多くの可能性を持ちつつ、その運用は政治的・経済的条件により左右される。従来と異なるのは、同時には存在しにくかった、普遍主義・ナショナリズム・エスニシティの追求が、情報化により、並立するようになったことを指摘する。

著者関連情報
© 日本社会学会
前の記事 次の記事
feedback
Top