社会学評論
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環境問題への諸アプローチと社会運動論
環境社会学と社会運動論の接点
高田 昭彦
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1995 年 45 巻 4 号 p. 414-436

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抄録

社会運動論は, 公害反対運動, 自然保護運動, 反原発運動, 町並み保存運動など実際の分析において, 幅広く環境問題に関わってきている。その社会運動論が, 環境そのものをテーマとする環境社会学とどのような接点があり, どう関連づけられるかを示すことが本稿の課題である。そこで, 現代に特有な環境問題とは何か, それに触発されながらアイデンティティ形成を行ってきた環境社会学とは何かを明らかにすることにより, その環境問題に対する諸アプローチの一つとして, 環境社会学と社会運動論を位置づけた。また環境問題自体を加害型-自損型、ローカル-リージョナル-グローバルの2軸で分類し, 環境社会学と社会運動論が対象としやすい固有の象限を確定し, 両者に含まれる諸アプローチから両者の関連を明らかにしようと試みている。本稿では, 環境を “自然と人間の共生関係が一定範囲の地域の自然の循環のサイクルの中で保たれている状態” と規定し, その保全が地球規模で社会的に問題化したのが1980年代後半, その結果生じた環境問題を解明するのが環境社会学と捉えている。なお環境問題への諸アプローチとしては, 環境社会学では社会的物質循環論, 生活環境主義, 社会的ジレンマ論, 地域共同管理論を, 社会運動論では新しい社会運動論, 資源動員論, ネットワーキング論を取り上げている。

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