社会学評論
Online ISSN : 1884-2755
Print ISSN : 0021-5414
ISSN-L : 0021-5414
産業社会における「制度」
アーノルト・ゲーレンにみるドイツ教養階層の価値規範の変容
城 達也
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 46 巻 1 号 p. 29-45

詳細
抄録

近代の古典的「教養」の空洞化と絶対的「精神」への不信は, ドイツの教養階層に自分たちの行動の指針となる新たな規範を探求させた. アーノルト・ゲーレンの理論はこの問いへの一つの回答である.
人格の陶冶という自発的, 自律的な規範形成に代えて, ゲーレンは行為と認識の究極的基準を行為の慣習たる、「制度」に求めた.これを国家と同一視し, 戦前はナチス国家を支持するに至った.戦後, 民主主義的国家の法秩序に加え, 専門科学的知識と産業社会の機能連関を一つの「制度」と見なし, 近代的価値を維持する規範として受け入れた.戦後の教養階層に共通するこの「現実主義的」な路線修正により, ゲーレンは現存秩序だけに規範性を認め, それを批判する知識人を脅威として弾劾するに至ったのである.
ゲーレンの制度論に見られるこの創造性と主体性の欠如を乗り越えて, 彼の理論的後継者たちは今日新たな規範を探求している.

著者関連情報
© 日本社会学会
前の記事 次の記事
feedback
Top