社会学評論
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心の透明性と不透明性
相互行為分析の射程
西阪 仰
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1995 年 46 巻 2 号 p. 128-142

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抄録

一切を相互行為における局所的な達成に還元しようとする相互行為分析にたいし, しばしば次のような疑問が投げかけられる。相互行為分析は, 局所的やりとりの外部になにものもみとめないのか, と。この問いは, 相互行為分析が, (a) 外部からの影響を顧慮しえず, また (b) 外部の存在をあらかじめ排除してしまっている, という批判的含意をもつ。本稿は, 上の還元によってなにも失われたりはしないことを, かかる批判に対して弁証しようとするものである。 (a) にかんしては, (1) 外部の存在を気にする必要がないこと, (2) それを気にする必要があるように思えるのは, 概念上の混乱にもとつく錯覚であること, そして (b) にかんしては, (3) 外部の存在の現実性はそれ自体, 相互行為のなかで局所的に, まさにそのようなものとして達成されること, を示すことで応えていく。ここでは, 心に係わることがらを, それ自体分析可能な相互行為的現象として扱っていくことで, 上の三点を具体的に示す。

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