社会学評論
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46 巻, 2 号
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  • 相互行為分析の射程
    西阪 仰
    1995 年 46 巻 2 号 p. 128-142
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    一切を相互行為における局所的な達成に還元しようとする相互行為分析にたいし, しばしば次のような疑問が投げかけられる。相互行為分析は, 局所的やりとりの外部になにものもみとめないのか, と。この問いは, 相互行為分析が, (a) 外部からの影響を顧慮しえず, また (b) 外部の存在をあらかじめ排除してしまっている, という批判的含意をもつ。本稿は, 上の還元によってなにも失われたりはしないことを, かかる批判に対して弁証しようとするものである。 (a) にかんしては, (1) 外部の存在を気にする必要がないこと, (2) それを気にする必要があるように思えるのは, 概念上の混乱にもとつく錯覚であること, そして (b) にかんしては, (3) 外部の存在の現実性はそれ自体, 相互行為のなかで局所的に, まさにそのようなものとして達成されること, を示すことで応えていく。ここでは, 心に係わることがらを, それ自体分析可能な相互行為的現象として扱っていくことで, 上の三点を具体的に示す。
  • オーストリア学派との関係から
    橋本 努
    1995 年 46 巻 2 号 p. 144-157
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    A. シュッツの主著『社会的世界の意味構成』 (1932) は, これまで現象学的社会学の基礎として評価されてきた。しかしこの著作は, 他方で, オーストリア学派経済学の基礎論として読むことができる。本稿では, まず, 初期のシュッツのおかれた問題状況から, 彼がいかにしてオーストリア学派の経済理論を正当化しようとしたのかについて, とくにシュッツの師にあたるミーゼスとの関係に注目して, 再構成を試みる。次に, 親密な交友関係のあったシュッツとハイエクについて, 両者の方法論を比較検討しつつ, シュッツにおける方法論的諸問題を摘出する。最後に, シュッツの方法論におけるその他の問題を内在的に批判すると同時に, 彼の方法論をオーストリア学派の基礎論としてみた場合, それは強力な基礎論にはなっていないことを論じる。その主要な原因は, シュッツが「主観」と「客観」の整合性に論じる場合に, これらの概念をさまざまな意味で用いることによって議論の精確さを損なったことにあると考えられるが, 全体としては, シュッツの方法論には折衷的な態度があることに帰因する。
  • 史的唯物論とポスト・マルクス主義とのあいだ
    山田 信行
    1995 年 46 巻 2 号 p. 158-171
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    本稿は, マルクス派の視点から歴史社会学の方法論を整備しようとする一つの試みである。本稿は三部から構成される。第一に, アメリカ合州国における歴史社会学の方法論論争を概観することによって, 求められている方法が演繹的な方法と「総体性」への志向であることを確認する。そのうえで, そのような要件をみたす方法が, 弁証法的なそれにほかならないことを提唱する。第二に, 史的唯物論の再構成の試みに見られる難点を確認したうえで, それを克服する試みとして, 多元的資本主義発展論としての弁証法的歴史社会学の構想を提示する。この際, 弁証法という論理が閉鎖的な「概念の自己展開」とは区別されるものであることが強調される。第三に, 弁証法的な論理の問題構制は「ポスト・マルクス主義」のそれと必ずしも抵触するものではなく, ギデンスも含めたポスト・マルクス主義的主張はかえって弁証法的方法の可能性を矮小化するものであることを指摘する。
  • 革新的な意思決定をめぐって
    安本 雅典
    1995 年 46 巻 2 号 p. 172-187
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    組織が革新的な決定や選択を要求されることが多くなっている。例えば, 斬新な製品や技術の開発, 突発的な政変への対処についての決定や選択である。こういった決定や選択は, 官僚制的な縦割組織の常軌的な意思決定方式や作業の流れからは生まれにくい。現在, 革新的な決定や選択を分析する代表的モデルは, ごみ箱モデルなどの “組織化された無秩序” モデルである。これらのモデルは, 組織内の関係のあいまい性, ランダムな意思決定過程, 決定結果の事後的合理化, そして組織メンバーの意志や自発性と決定との無関係性を強調する。革新的な決定は, 意図せざる “偶然” の産物であるとされる。確かに “革新的” な事象には, 偶然に見える意外性が潜んでいる。だが, 組織内では, 組織内メンバーの自発性にもとづき, 組織の歴史的制度的文脈に規定されたある種のゲームが行われている。決定や選択の現場には, 具体的な利益や影響力の構造が存在している。多くの決定や選択はその上で, メンバーの自発的な意図に端を発するコンフリクトや交渉を経て成立している。こう考えると, 決定の偶然性や過程のあいまい性を重視するモデルは, 組織内社会過程の厳密な分析であるというよりは, 決定の過程一結果関係から, 政治的ゲームの一側面をマクロ的抽象的に描写したカリカチュアだといえる。よって, 実際に組織の決定過程を分析するには, 政治的ゲームの概念にもとつく決定過程モデルが要求されるのである。
  • 戦前期の下谷区を事例として
    小浜 ふみ子
    1995 年 46 巻 2 号 p. 188-203
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    「町内会」は, 日本の都市社会における代表的な地域集団である。「町内会」の先行研究は, その起源や機能に関する論争を通じて, 見るべき成果をあげてきた。その一つが担い手層に関する研究である。しかし, それらの先行研究も町内社会を実質的に支えている担い手層を「戦前の名望家層に代わる戦後の役職有力者層」と位置づけるにとどまり, 戦前の名望家支配それ自体を実証的に解明してはいない。本稿は, 戦前期の下谷区を事例として, 町内社会の担い手層の社会的背景を実証的に分析し, そこには名望家層と称される旧来の地主や資産家は殆ど存在せず, 地方出身の来住者が, 歴史的・社会的背景の下で自営業主層として町内社会に定着し, 次第に担い手層を形成した過程を明らかにする。この過程は, 彼らの地位達成と経済的・社会的資源の蓄積が, 最終的に町内社会の主導的地位を確立させ, 複数の役職を兼務させるに至った軌跡として把握される。
  • 中田 実
    1995 年 46 巻 2 号 p. 204-209
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 浅野 慎一
    1995 年 46 巻 2 号 p. 210-213
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 島薗 進
    1995 年 46 巻 2 号 p. 214-215
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2010/01/27
    ジャーナル フリー
  • 木下 謙治
    1995 年 46 巻 2 号 p. 215-217
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
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