社会学評論
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説明スタイルの日米比較
初等教育に見る異文化の意味
渡辺 雅子
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2001 年 52 巻 2 号 p. 333-347

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抄録

本研究は, 日本と米国の小学生の説明のスタイルが具体的にどう異なるかを4コマの絵を使った実験により明らかにする.説明のスタイルを調査する方法として, 一連のできごとを説明するのに, どのような順番でものごとを叙述するかに注目した.
4コマの絵を使った実験では, 同じ絵を見てそこに表されたできごとを説明するのに, 日本の生徒は生起順にできごとを並べて時系列で説明をする傾向が強いのに対し, 米国の生徒は時系列とともに結果を先に述べた後, 時間をさかのぼって原因をさぐる因果律特有の説明の順番に従う傾向があることが明らかになった.また理由付けをする場合には, 米国の生徒は結果にもっとも影響を与えたと思われるできごとのみを述べて他を省略する傾向が見られたのに対して, 日本の生徒は説明の場合と同様に時系列でできごとを述べる傾向が見られた.さらに日本の生徒は, 一連のできごとを述べた後, 社会・道徳的な評価で締めくくるのに対し, 米国の生徒は因果律の観点から, 与えられた情報をもとに説明を補足する特徴が見られた.
時系列と因果律という叙述の順序の違いは, 個々のできごとの軽重の判断や一連のできごと全体の意味付けに重大な影響を及ぼしている.説明のスタイルの違いが理解や能力の問題として把握される可能性は大きく, 教育の現場においては複数の説明スタイルの違いの存在を意識することが必要である.

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