2002 年 53 巻 1 号 p. 101-117
「公共性」をめぐっては, 現代市民社会をいかにとらえるかという課題と密接に関わりながら幅広い議論が展開されている.こうした公共性論のもつ視角は「まちづくり」の場面にも反映されており, 国家・行政機関に専有されてきたこれまでの公共性に代わって, 「住民」や「市民」に軸足を据えつつ, 具体的な政策の場面においても有効性のある公共性をいかに構想できるかが課題とされている.
しかし, 従来の議論では公共性を「市民性」をもつものの間に囲い込んでしまうために, 日常の生活行為そのものから離れてしまう「あるべき公共性」になりがちであった.そのため, そこで語られる公共性は理念としては説得的であったとしても, まちづくりの具体的な場面においては必ずしも有効性を発揮することができないというジレンマを抱えてきたのである.
そこで本稿では, 新興住宅地における公園づくりを事例としながら, これまでの公共性論が看過しがちであった「関係性」そのものに光をあてつつ, 「関係性に対して開かれた公共性」に言及することで, 上のジレンマの克服を試みた.そしてその上で, 従来の「市民的公共性」の追求とは異なった形によるオールタナテイヴな社会を展望してみたい.