社会学評論
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言語派社会学の理論構成
橋爪 大三郎
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2006 年 57 巻 1 号 p. 109-124

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抄録

行為の二重性, すなわち, 行為が, 実物世界のなかでの出来事であることと, 意味理解を通じて効力をもつこととの関係を, これまでの理論は整合的に取り扱ってこなかった.構造主義は, 記号のレヴェルが実物世界から切り離されていること (恣意性の原理) に注目し, マルクス主義の想定を覆した.ヴィトゲンシュタインの言語ゲームは, 構造主義が想定した二重性をつき抜け, 世界が一重であることに徹したアイデアである.行為は人びとのルールに従ったふるまい, すなわち, 言語ゲームのなかで意味をもつ.その意味は, 実物世界のなかでの個物の列挙に示されている.
実物世界のなかに人びとの身体が散在しているとき, 間身体的に波及する形式が, 言語である.言語派社会学は, 言語に加えて, 性と権力とを, 社会空間の基本的な作用力と想定する.言語/性/権力から, さまざまな社会形象が派生し, 制度的な前提が選択されて具体的な社会システムが形成されてゆく.このようにして, 言語派社会学は, 社会の普遍的な原理と, 社会システムの経験的な考察とを, 包括する理論構成をもつことができる.

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