抄録
培養フラスコ中でChinese Hamster Ovary(CHO)細胞をX or γ線照射(0.2〜4 Gy)照射し,24時間経過後にその培地(培養液)のみを被曝歴のないレシピエント側CHO細胞の入ったフラスコに移すと,後者の細胞の突然変異頻度が約4倍増加するとともに,細胞中に遅発性長寿命ラジカルが生じる培地経由放射線バイスタンダー効果を,突然変異試験並びに細胞のESR直接観測により確認した。培地のみを照射してもこの効果は現れず,被照射細胞から培地に溶出した未確認のバイスタンダー因子がこの発現に関与している。培地移動の際にアスコルビン酸(1 mM)を培地に加えると,レシピエント側細胞の突然変異発現は抑制され遅発性長寿命ラジカルも生じなかった。照射培地中の培地経由バイスタンダー効果を生物学的指標以外で観測できるのは,現時点で遅発性長寿命ラジカルの生成のみである。