2021 年 38 巻 1 号 p. 2-11
経鼻高流量酸素療法(nasal high flow oxygen therapy:NHFOT、high flow nasal cannula oxygen therapy:HFNCOT)は、酸素療法に分類されるものの、若干のPEEP効果と死腔量低減による間接的な換気補助効果をもつことから、非侵襲的人工換気(noninvasive ventilation:NIV)とならんで重要視される呼吸療法の1つである。NIVと比較すれば、付加可能なPEEPレベルに制限があり、吸呼気に伴う圧変動も大きいが、顔面に密着するインターフェースを用いないため患者の忍容性が高く、急性呼吸不全に対しても一定の効果が報告されている。人工呼吸器やNIV装置がなくても、酸素供給装置と加温加湿器と専用のディスポーザブルプロングで実施可能なことも利点である。一方、NIVと同様に高濃度の酸素吸入が可能で、低いながらもPEEPを付加できるため、病状が進行しても酸素化が維持される結果、侵襲的人工呼吸への移行判断を誤り、患者の予後を悪化させる懸念がある。
Coronavirus disease 2019(COVID-19)肺炎患者に用いる場合は、呼吸管理法としての有用性だけでなく、エアロゾルによる周囲への汚染の問題を考慮しなければならない。さらに、経鼻高流量酸素療法の位置づけを考えるにあたっては、人工呼吸器を必要としないという利点と酸素消費量が多いという欠点もあわせて検討する必要がある。このたび、日本呼吸療法医学会と日本臨床工学技士会で、現時点で得られる情報を収集し、不明点を含めた見解をまとめる機会を得たのでここに報告する。