室内環境
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原著論文
ハウスダストのアセトン抽出物および有機リン系難燃剤のアセチルコリンエステラーゼ阻害活性測定の試み
野口 実華子水島 亜樹山田(中嶋) 容子福田 祥子吉田 精作
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2020 年 23 巻 2 号 p. 75-87

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抄録
ハウスダストのアセトン抽出物についてアセチルコリンエステラーゼ(AChE)に対する阻害活性を測定した。 AChE活性の測定は, ヨウ化アセチルチオコリンを基質として, 5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)による呈色反応を利用した。 ハウスダストは, 大阪周辺の一般家庭から, 2013年に8例, 2014年に8例, 2015年に15例, 2016年に20例を入手した。 酵素阻害活性を測定する試料は, アセトンを用いて超音波下でハウスダストから抽出し, アセトンを除去後にエタノールに溶解した。 酵素阻害活性の測定は, AChEとハウスダストのアセトン抽出物を石英セル内で混合し, リン酸緩衝液とDTNBを加えた後5分間放置し, 基質を加え, 1分おきに吸光度(412 nm)の増加を5分まで測定した。 試料の酵素阻害率は, エタノールをコントロールとして測定した場合の吸光度増加の速度を100とし, 試料における吸光度増加速度の割合として求めた。 ハウスダスト(2.5 mg相当)のアセトン抽出物はすべてAChEに対する阻害活性(阻害率7~96%)を示した。 また, 測定した8種類の有機リン系難燃剤(PFRs)標準品は, すべてAChE阻害活性を示した。 ハウスダスト中のPFRsを測定したところ, すべてのハウスダスト試料から数種類のPFRsが検出された。
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© 2020 一般社団法人 室内環境学会
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