新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease-2019:COVID-19)で入院した中等症以上の患者(21例)に対し退院基準を満たした際の30秒椅子立ち上がり検査(30-seconds Chair Stand Test:CS-30)による労作時低酸素血症(ΔSpO2=安静時SpO2と労作時最低SpO2の差≧4%)と呼吸困難(Δ修正Borg Scale=安静時修正Borg Scaleと労作時最大修正Borg Scaleの差≧5)に関し後方視的に検討した。室内気で安静時SpO2は中央値97.0%、CS-30実施時の最低SpO2は中央値92.0%で有意差(P<0.01)を認めた。安静時の修正Borg Scaleは中央値0.5、CS-30実施時の最大修正Borg Scaleは中央値5.0で有意差(P<0.01)を認めた。CS-30実施時の低酸素血症は13例(62%)、呼吸困難は12例(57%)に認めた。CS-30実施時のΔSpO2とΔ修正Borg Scaleには有意な正の相関(ρ=0.66、P<0.01)を認めた。COVID-19患者において退院基準を満たした際のCS-30は労作時低酸素血症・呼吸困難の評価として有用であり、簡便に遠隔で行える評価法であることが示唆された。今後はコロナ後症候群(post-COVID-19 syndrome)として起こる労作時症状の評価を目的とし、より早期のリハビリ介入も考慮すべきである。